家内労働者等の所得計算の特例と青色申告

手続き

家内労働者等の所得計算の特例

家内労働者等の特例適用と青色申告特別控除のダブル適用ができることと、確定申告で適用するのを忘れて(知らないで)申告していても、更正の請求できることを説明します。5年遡及できるので、自分の申告書を見直してください。

それにより、世帯の中で収入のある人の扶養になることも出来る可能性もあります。自分の税金だけでなくあなたを扶養した人も税金が少なくなるチャンスです。

こちらを読んで、可能性があったら、5年分の確定申告書の控えとあなたを扶養した人の5年分の確定申告書の控(申告していない方は源泉徴収票)と各々マイナンバーカードとBK通帳、ハンコ持って、税務署へGO!

更正の請求とは確定申告書に誤りがあったとき

条文の整理

家内労働法第二条②

この法律で「家内労働者」とは、物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他これらの行為に類似する行為を業とする者であつて厚生労働省令で定めるものから、主として労働の対償を得るために、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者であつて、その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするものをいう。

措置法27条

家内労働法(昭和四十五年法律第六十号)第二条第二項に規定する家内労働者に該当する個人、外交員その他これらに類する者として政令で定める個人

措置法施行令第18条の2①

 法第二十七条に規定する政令で定める個人は、集金人、電力量計の検針人その他特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者とする。

以上から

いわゆる内職をしている個人、外交員、集金人、電力検針人と

特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者

該当するといわれている仕事

①シルバー人材センターからの報酬

②ヤ○ハ教室のピアノ講師報酬

③ヤ○○ト・○○生命保険の外交販売報酬

④特定の会社に継続的に役務を提供してえた「報酬料金の支払調書」を持っている者

該当しないといわれている仕事

①自宅で生徒数人にピアノを教えている収入⇨生徒数人に教えていることは、特定の者に役務を提供していることにならない。

ヤ○ハ教室のピアノ講師報酬と比べると自宅で教室をやって収入を得るとアウトで、ヤ○ハ教室で働くとクリアとなり、同じ収入金額でも取り扱いに違いが出ることに釈然としませんが、これが現状です。法の趣旨からすれば、少額の収入には同様な取り扱いがあって良いと思います。

チャレンジするとどうなるか。例えば、月謝1万円の生徒が8人いて、年間96万円収入がありました。自宅で教えていました。実際の経費は数万円でした。しかし、ざっくりと収支内訳書に経費総額65万円と書き、所得金額31万円と申告しました。申告納税額が0円でした。これを更正するかどうかは、税務署の仕事になります。更正するためには、必要経費をいくらにするかを税務署が算定しなければなりません。手法としては、実額では出せないため、推計になることが考えられます。同規模同業者を抽出し統計的な平均所得率を出します。税務署は、更正する以上、負けない更正を目指します。メンツをかけて更正することになります。大変な手間が掛かります。そして、更正通知が来ます。更正通知が届いたら、「再調査の請求」をします。これは、更正処分をした税務署長宛にするので、結果は見えてます。飛ばして、国税不服審判所へ「審査請求」することも出来ます。「審査請求」の次は、裁判になります。大変な手間を掛けて、更正するかと言えば、◯◯です。チャレンジはご自分で考えて、決めてください。私はオススメしません。

同規模同業者とは、この場合、96万円の収入の半分の48万円から倍の192万円の範囲の同じ仕事をしている(月謝1万の生徒にピアノを自宅で教えている)人を、まず署内の中から抽出します。ある程度の必要数が足りないと隣接署へ拡大して数を確保します。

法の趣旨

少額の収入といわれる内職仕事は、給与でないため、給与所得控除65万枠がない。厳密な必要経費を適用すると所得金額が大きくなり、給与と比較して著しく不利である。それを緩和する仕組みと言われている。

シルバー人材センターからの収入に適用する際の注意

少額でも給与収入があるとその収入が65万より少ないときは、その額だけシルバー人材センターに使える枠が少なくなること

あと、個人年金収入がある場合、掛け金相当額が、雑所得の必要経費となるが、それとシルバー人材センターに使える枠は別ではないというところ。つまり掛け金相当が65万以上だったら、使える枠がない。

自分にシルバー人材センターからの収入があるが、どういう計算をして申告したか分からない人は、5年分の確定申告書の控えを用意して、税務署個人課税部門に電話して聞くのがベスト。まったく65万円枠を使っていなければ、所得税が税率5%として約33千円、住民税が10%で65千円、合計10万円弱(1年分)。5年分なら50万円弱の可能性もあります。

確定申告要件ではない

家内労働等の特例は、

確定申告要件ではない⇨申告時に適用していなかったら「更正の請求」できる

確定申告要件とは、専門用語です。確定申告書に適用すると書かないと認めないという仕組みのこと。

青色申告特別控除とダブル適用

事業所得であれば、65万控除も可能

必要経費の特例としての家内労働の特例であるので、正規の簿記の原則に従った記帳により、貸借対照表まで作成できれば、65万もある。

整理

平成30年分 令和元年分 令和2年分① 令和2年分②
家内労働特例 65万 65万 55万 55万
青色申告特別控除 65万 65万 55万 65万
基礎控除 38万 38万 48万 48万
合計 168万 168万 158万 168万

(注)2020(令和2)分の青色申告特別控除は、電子帳簿保存か申告書決算書をe-taxしないと65万でなく55万としているため①②にしました。

青色申告者であれば、168万までの収入があっても、課税所得がないことになる。