業種別事例研究 大学教授編

業種別事例研究

業種別事例研究 大学教授編

日本の最高学府で、教鞭を執るお仕事をされている方々ですが、やはり税金は不得意な方々が多いです。高校生あたりの過程でしっかりとした租税教育や青色申告の基礎知識を学習することがあっても良いかもしれません。

日本社会の基盤が源泉徴収される会社員ばかりでなく、副業推進やフリーランスの増加により、確定申告する方達が増加しているからです。

大学教授が確定申告

勤務先が一つだけで、印税や講演料がない大学教授は、年末調製されて確定申告不要となりますが、20万円以上の収入が大学からの給与以外からあれば確定申告することになります。

調査対象になるのは

印税や講演料収入が1000万円超

ずばり、消費税の申告をしていただくためです

さらに1000万円未満の駐車場収入や店舗貸し収入があると

合わせ技で消費税申告する

選定リスト作成

KSKに3年から5年前の雑所得収入900万円超で直近3年間消費税の申告がない者を抽出させて、対象者を絞り、一件一件検討します。

大学病院主任教授A

都内有名大学病院主任教授Aさんは、マスコミにも名前が知られた○○病の権威。出版物もあり、各地へ講演にも出かけてます。ご自分で所得税の確定申告書を作成して税務署に提出しておりました。

事前通知

本人作成で、関与税理士がいないため、事前通知は、ご本人にすることになります。

本人宅に何回架電しても留守電にもならない。誰も電話をとってくれない。

来署依頼文書を郵送。

自宅に臨場して、不在を確認して、「来署依頼」を置いてくる。

一切連絡なし。無視状態が続きます。

勤務先へ「親展」で文書「来署依頼」

ようやく、反応がありました。

税務署出身のOB税理士から電話が入りました。国税庁幹部も務めた大物税理士です。

ほどなく、「税務代理権限証書」が提出されて、調査が進展することになりました。

収入確認のための反面調査

確定申告関係の原始記録保存が通帳も含めて一切ないため、銀行調査と収入先への5年間の取引確認が行われました。

調査年分は5年間

消費税申告が無申告であると、調査年分は5年間が基本。

課税事業者の判定となる売上に仮装隠蔽がある場合は、7年間になるでしょう。

課税仕入れ

確定申告関連の原始記録がないとなると圧倒的に困ることなるのが、経費として払った領収証がないため、「支払った消費税」があることを立証できないことです。

課税仕入れが認められない。仕入税額ゼロ。

簡易課税制度はもちろん使えない

届けが前提の制度ですから、簡易課税もありません。

OB税理士が説得

課税売上だけで、認められる課税仕入れが一切ない事態に、本人は相当ゴネ続けました。

加算税に上乗せ5%の加重加算税賦課

無申告の場合、納める本税が50万円超になると無申告加算税15%に5%の上乗せがあります。

 

メガバンク出身大学教授B

メガバンクからアメリカ大学院に留学した経歴を持つ経済学者です。都内戸建を買い替え、旧自宅を賃貸して収入を得てました。

不動産所得、給与所得、雑所得も確定申告

旧自宅戸建を貸付、大学からの給与、原稿料収入の確定申告に新たに購入した住宅借入金等特別控除を適用して確定申告書が提出されました。

旧自宅が空き家に

旧自宅戸建が空き家になり、不動産収入が無くなりました。不動産業者に賃借人斡旋を依頼しているという募集チラシをつけて不動産収入ゼロの赤字の申告をしてくることになりました。

毎年、不動産賃借人がいない申告

不動産所得マイナス、給与所得、雑所得、住宅借入金等特別控除の申告書が続きます。

買い替えた自宅を売却

買い替えした自宅を売却した申告を「売却した自宅を納税地」にしたまま確定申告しました。

翌年も確定申告

買い替えした翌年も、「他人が住んでる家の所在地」を納税地にして、不動産所得マイナス、給与所得、雑所得、住宅借入金等特別控除の還付申告書を提出。

外観調査とストリートビュー

旧自宅戸建の賃貸物件の外観調査を実施して、ガレージに高級外車を確認。表札や玄関先の傘立ても確認。外観上は住んでいる様子が窺われた。さらに、別の日に夜の外観で部屋の灯りがあることを確認。さらには、グーグルさんが撮影したストリートビューにもガレージに外車がありました。外車の名義は妻名義を確認。

住民票を異動せず

売却した後、住民票を異動しておりません。売却した家には、他人が住んでおり、その方の住宅借入金等特別控除適用の確定申告書も出てきました。

納税地

納税地が決らない。本人が申告書に書いた住所には、他人が住んでおり、本人の住所が決らないと「調査権限」のある税務署が決まりません。

大学あてに「電話依頼」のお手紙を親展で

本人から電話が掛かってきたので、売却した住所のままの申告を出されているので、納税地異動届を提出するよう説明しました。届け出書類を大学宛に郵送して提出を受けました。結果、都内某署の税務署に納税地を異動。

異動先で調査着手

自宅を売却したあとは、家族は、空き家だった旧自宅に戻り、住んでいたことが明らかになり、偽りのマイナス申告をしてきたことがバレてしまいました。仮装隠蔽の申告を繰り返してきたことで、7年遡及して課税処理が行われ、重加算税賦課になりました。

まとめ

雑所得の収入が1000万円を超えるようになったら、消費税の申告が必要。仕入税額を証明する領収証がないと払った消費税を証明できない。無申告は、本則計算のため、課税売上に対する税額をそのまま払うことなります。

お心当たりのある方は、すぐ、所得税の確定申告書を見直してください。

無申告加算税が15%でなく5%に軽減されます。

確定申告書に誤りがあったとき
修正申告と更正請求について説明