インボイスと免税事業者
免税事業者とは、消費税を納めることを免ぜられた事業者である。現行消費税法では、基準年度の売上が1000万未満である者をいう。
納めなくても良いのだが、稼いだ売上には、実際は消費税が含まれている。
いわゆる益税である。
益税
免税事業者は、実際には、売上金の中に消費税を預かっていることになっているのに、それを税務署に納める義務がないことから、手元に残る。
これを「益税」とよんでいる。
消費税が3%の時は、基準年度の売上が3000万だった。→3000万✖️3%=90万
3000万未満の事業者には、益税になることを消費税制度を導入するための撒き餌のように見せた。
消費税が5%になると益税が150万になるとして、3000万から1000万になった。
そして
消費税が8%で80万が益税。
消費税が10%で100万が益税。
インボイスが始まらなくても、免税点を低くしてくる可能性は限りなくある。
下げてきたら、1000万→500万だろう。
インボイスを先送りしたら、間違いなく課税点を低くしてくる。
益税を見逃せないという世論を意識するだろう。
インボイスとは
2023(令和5)年10月1日以降は、現行の区分記載請求書等の保存に代えて、「適格請求書」等の保存が仕入税額の要件になる。
適格請求書を交付できるのは、適格請求書発行事業者に限られる。
適格請求書発行事業者になるには、登録申請をして登録を受けることになる。
課税事業者でないと登録申請が出来ない。
こういう論理で、免税事業者であっても、課税事業者になって、適格請求書発行事業者になるしかないということがWEBやTwitterで盛んに言われている。
例えば
1000万以下の事業者の代表格が個人タクシーだ。
個人タクシーは、ごくごく一部のスーパーマンを除いて、ほとんどが免税事業者だ。
タクシー料金は、個人も法人も同一料金だ。
いまは、インボイスでないから、免税事業者のレシートでも、経費処理したものは「課税仕入れ」になる。
しかし、インボイスが始まると、免税事業者の個人タクシーのレシートでは、課税仕入れにならなくなる。
利用する乗客の中には、運転手に「消費税10%はおまえの益税だろう」と嫌味をいう者もいるだろう。
インボイスになったら、事業者がタクシーを拾う時は業者タクシーを選択するだろうか?
法人タクシーは、本体価格+消費税10%が乗車料金。
免税事業者である個人タクシーは「益税」。
こうなると、個人タクシー業界をあげて、「適格請求書発行事業者」になるだろう。
業界や業種によっては、
インボイスが出せない者は、消費税を払わない事業者なんだから、本体価格で取引。納品先から言われると免税事業者は辛い。免税事業者でも払う経費には、消費税を払っているから、売上が本体価格では、利益が圧迫される。納品先の方でも、免税業者の消費税処理をかぶることになるから「おまえのとこの消費税うちが被るのかよ」となる。
仕事をもらえなくなるというより、本体価格だけという実質ダンピング取引になる可能性が出てくる。
やはり、「適格請求書発行事業者」になることになるだろう。
準備する
2023(令和5)年10月1日以降は「適格請求書発行事業者」になる準備をしましょう。消費税を払う事業者になるということを意識して、自動車を購入するとか、事業用資産を購入する時期を考えましょう。
まとめ
インボイスが先送りになることがあっても、「益税」の世論から、課税点の引き下げがあるのは必須。
課税点の引き下げがあるとすると500万あたりが考えられる。
免税事業者のときは買い控え、課税事業者になったら買う。
消費税課税事業者になる道を選ぶなら、車両や機械設備投資の時期を考えよう。
個人タクシーの方は、車の入れ替え時期しっかり考えましょう。