確定申告会場

確定申告

確定申告会場

毎年、税務署の確定申告会場には、多くの納税者が訪れて、確定申告をされます。国税庁では、税務署に確定申告のために来る納税者を減らすためにいろいろ工夫をしてます。

e-taxはその施策の先頭に立つ取り組みの一つです。

2019年までの確定申告会場

2019年までの確定申告会場に出かけられた方は、税務署に出向くと

会場前で

申告相談に来所された納税者を適切な部署に案内するため

どういう申告をされますか

来署された納税者を分類します。

①譲渡所得や贈与税など資産税関係の申告者

②(不動産所得や事業所得の)収支内訳書や決算書などの作成が必要な申告者

③年金受給者や給与所得者で医療費控除や住宅借入金等特別控除

2020年の確定申告会場

わたしは2019年3月は、税務職員でした。2020年3月の税務相談会場を想像すると1番の問題は、事業者の消費税申告をどうサポートして、適正申告してもらうかということになると思います。

今話題になっているのは、キャッシュレスのポイント還元と話がごちゃごちゃになってますが、実際に納税の申告をする事業者の消費税申告をどう迎えるのかが大問題だ思います。

ここがクリアできないと制度ができても、実際に適正な申告をして納税してもらっての話です。

どういう申告をされますか

①譲渡所得や贈与税など資産税関係の申告者

②(不動産所得や事業所得の)収支内訳書や決算書などの作成が必要な申告者

③消費税の申告書作成準備

④年金受給者や給与所得者で医療費控除や住宅借入金等特別控除

譲渡所得・贈与

資産税職員が、基本、一対一で書面を確認して付表作成を行うので、待ち時間が長い。書類不備だと何回も出直しになる。

付表が出来上がると「PCコーナー」へ誘導される。

決算書作成指導コーナー

個人課税部門の職員が、一対二人三人ぐらいで決算書の作成指導を行う。けっこう時間かかる。理由は、税務署が事前に申告書を郵送するサービスを基本取りやめているためだ。したがって、税務署に来て、「収支内訳書」の用紙をもらって記載を始める者が多い。前年の控を持ってこないと減価償却計算がまともにできない。閲覧申請をしてからになることもある。

消費税申告の準備コーナー

2020年の申告会場では、決算書作成準備コーナーで消費税対応をすることなるだろう。ここで、課税取引金額計算書などを作成指導することは間違いない。個人課税部門の職員だけでは、足りなくなり、法人課税部門職員の増援があると思われる。PC作成コーナーでの基礎資料作成までとなる。

新税率課税取引金額計算書表イー1

新税率課税取引金額計算書表イ−3

新税率課税売上高計算表表ロ

新税率課税仕入高計算表表ハ

もしくは、これを作成指導するためのコーナーを決算書作指導コーナーに隣接して設置対応するだろう。

事業者が作成する第一歩は、新税率課税取引金額計算書イ−1だ。

2019年9月30日まで 2019年10月1日から
旧税率 標準税率 軽減税率
消費税率 6.3% 7.8% 6.24%
地方消費税率 1.7% 2.2% 1.76%
消費税率の17/63 消費税率の22/78 消費税率の22/78
合計 8% 10% 8%

売上にしても経費にしても

この旧税率と新税率標準と新税率軽減の3本立てで決算金額を分類することになる。

旧税率8%と新税率軽減の8%は国税部分が違うため別々に計算が必要だ。

行列を一本追加。さらに待ち時間がプラス。

年金者や給与所得者などの還付申告準備コーナー

医療費控除であれば、「明細書」の作成。

住宅借入金等特別控除であれば、提出書類の確認と計算明細書入力シートの作成。

株取引申告する者の繰越損失の確認と申告する取引の確認シート作成。

PCコーナーで、スムーズに入力できるように準備する。

ここでの指導は、非常勤アルバイトと法人課税職員と個人課税職員の混成チームがコーナーに流し込まれた納税者にピンポイント対応することになるだろう。手を上げるなど積極的に質問しないとたぶん放っておかれる。

パソコンコーナー

ここにたどりついて、やっとPCの前に立つのだが、対応してくれるのは、このために訓練された非常勤アルバイトです。

職員ではありません。

PC操作はご本人様が原則。

非常勤アルバイトは、入力代行するためにいるのではなくて、画面進行係の位置付け。

ただ、あまりにも、キーボード入力を強いるには困難な方のヘルプに当たるために入力代行することはあります。

アルバイトだけでは、質問に答えられないため、個人課税部門職員が一人あるいは二人巡回して対応しています。

確定申告非常勤アルバイト

だいたい前年12月頃から国税庁HPの各国税局サイトで非常勤職員募集が始まります。各税務署で募集人員や応募方法が掲示されます。時給1070円くらい。1月下旬か2月初めくらいから3日程度の研修を行い、会場に出てもらいます。国税庁HP確定申告書作成コーナーが使えるレベルの研修を行います。

ここでも、前年の確定申告書の控をもってくれば、画面上で比較して、入力漏れがないかを確認できます。

この確認を自宅に帰ってからする方が多いのが困ったことです。

また、「訂正」するために、これらる方が多くいます。

並んで、たどり着くパソコンコーナーです。

一回でクリアしましょう。

プリントコーナー

パソコンコーナーでは、印刷データをICメモリーに保存し、プリンターでICメモリーから印刷します。

このメモリー管理により、作成開始から印字までの時間管理を行ってます。また、設置したPCの稼働状況も管理しており、配置や誘導により満遍なく稼働するよう工夫をするのが確定申告を取り仕切る個人課税部門総括上席の腕の見せ所です。

提出書類の整理コーナー

税務署に提出する書類と持ち帰る控と書類の仕訳をする。

納税の申告をした方に「納付書」を渡す。

毎年、納付書をもらわないで帰ってしまって、4月以降に督促を受けてトラブルが発生します。

職員に会っていない

決算書を自分で作成していたり、医療費控除や寄附金控除のために税務署に行かれた方は、個人課税部門の職員には会わずにPCコーナーで申告書を作成送信して帰ることになります。

個人課税部門の職員はどこでなにをしているのでしょう。

紙で申告書を郵送したり、提出されたものの審査。

e-tax送信された申告書の審査。

会場で作成された申告書の審査。

誤って提出されたり、送信された申告書の訂正申告してもらうための事後処理。

などを事務室でしております。

確定申告が重荷

国税庁は、確定申告が重荷なのかと言いたくなる状況。

まず、

①確定申告書の一斉郵送を止めてしまった。

表向きは「郵送経費の節減」と言っている。

膨大なコストをかけて開発したe-taxを普及させるためには、紙媒体を配っていては矛盾する。

②各税務署での確定申告対応を止める

合同会場方式導入。

各税務署で駐車場などにプレハブ庁舎を建てるのはコストが掛かりすぎる。

親切丁寧な対応ばかりでは、来署数が減少しない。

膨大な開発費が掛かったe-taxを利用してもらうため来署しやすい環境を提供しない。

来署依頼していた時代があった

昭和の時代の確定申告は、職員の机を並べて、机で対面して一件づつ事業者の決算指導と確定申告書の作成をしていた。

特に、調査をした事案や記帳指導対象者・白色申告社には、日時を記載した来署依頼を郵送して申告指導していた。

確定申告は、納税者に接触する有効な機会ととらえていた。

還付申告者の増大で事業所得を申告する方たちへの指導ができなくなった。

まとめ

2020年の確定申告会場を考えてみました。わたしは、たぶん税理士会の無料相談会場のお当番をすることになるだろうと思います。

消費税の申告をする方は、「新税率課税取引金額計算書表イー1」を作成する。

これを作れる記帳をすることが大事です。

あと

パソコンコーナーにいる人は、非常勤アルバイトです。

アルバイトに叱らないでください。

個人課税部門の職員を呼んでください。

お願いします。